歌&ギターの音質改善|ミックスしたらAlloy2のプリセットに敗北?
アマチュア・ミュージシャン向けに音質改善(オーディオレストレーション)サービスを運営しています。性質上、録音がやや苦手なミュージシャンからの依頼も頂きます。有料サービスを使っても音質改善して楽曲を世に出したいということは、そのパフォーマンスがとても良いという理由があり、素敵な作品に出会うことがほとんどです。
ミックス&マスタリングよりも重要な録り音の重要性
Guitar+vocal、Piano+Vocalなどの組み合わせによる小編成楽曲では、多トラックの楽曲に比べ、録り音の重要度が高いです。アマチュアミュージシャンにとってアコースティック楽器をベストな環境で録音するのは意外と難しいもの。せっかくの高パフォーマンスもノイズが多かったり、場所によりクリッピングしてしまっていることも少なくありません。限られた音声素材のクリーニングをすることで、配信に耐えうる状態にするのが僕が運営している主力サービスです。
そんなユーザーからミックス&マスタリングをお願いされることもしばしば
音声素材のクリーニングをきっかけにミックスを依頼されることもあります。オンラインサービスのため、ご利用いただくユーザーと直接面会する機会はなく、音作りの相談もメールのみで行うことが殆ど。
ミックスやマスタリングは一定のクオリティを超えた時点で嗜好要素が高まるため、一発でユーザーに満足いただく「音」を作るのは難易度が高い。
気に入っていただけるミックスを提示するためのプリセット活用
リピーターのユーザーや過去作品などのデータがあれば、好みそうな方向で仕上げやすいが、そういったデータをいただけない場合は、数パターンの音声サンプルを提示します。先日、ご依頼いただいたユーザーに対してもミックスが2パターン、マスタリングが3パターンの提示をさせていただいた。
多くのケースでバージョン1は、自分の感覚でベストに仕上げたもの。その他のパターンはあえて解釈を変えて音作りをします。その中でも更に自分の感覚と異なる可能性を探るため、プラグインのプリセットから仕上げることがあります。自身ではチョイスしないプラグインやそのセッティングから思わぬほど良い結果を生むときがあります。
先日、偶然にもプリセットを最も積極的に活用した組み合わせのヴァージョンが採用に至りました。エンジニアの立場として悔しい感じもあるのですが、もちろんユーザーに喜んでもらえる音源を提供できる喜びの方が大きい。
アコースティックギターに採用したAlloy2のプリセット
Alloy2はiZotope社から発売れているチャンネルストリップ型のプラグインです。省略して説明すると、DAWにレコーディングされた楽器の音作りをサポートするためのマルチエフェクター。EQやコンプなど複合的に作らなければならない音作りのテクニックといえる、楽器や楽曲に応じたプロのセッティングをそのまま使用できるツールです。
イコライザーを効果的に調整するための必須知識とプロテクニック
楽器パート(録音された楽器)ごとに豊富なパターンのプリセットが収録されています。プロのエンジニアでも得意ジャンルや主要顧客(指名してもらえるアーティスト)が存在し、滅多に挑戦しない音作りもあり、ジャンルを超え、網羅的に収録されたプリセットはエフェクトの組み合わせやセッティングを眺めるだけでもとても勉強になります。
繊細なセッティングが必要になるEQやコンプが苦手なミュージシャンも体系的にエフェクトセッティングが学べます。DAW内臓の豊富なプラグインをもっと使うためのアイディアの源にもなり、より頭の中にあるイメージを近づけられるスキルとして身につきます。
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プロエンジニアもプリセットは積極的活用して自分のものにしてしまうもの
昨年、サイデラマスタリングのチーフエンジニア森崎氏の有料セミナーに参加させていただいた。マスタリングプラグインOzoneを活用したプロ向けの内容でしたが、森崎氏もOzone7に内蔵されているグレッグ・カルビ氏のプリセットを下敷きに独自プリセットを構築ししているとのことでした。(Ozone7発売直前でオンラインでグレッグ・カルビ氏のプリセットが公開されていた)
職人ほどその広い視野を持ち、多くの引き出しを得ているもの。けしてプリセットを馬鹿にしたりはしません。
まとめ
最近は主要のDAWにもチャンネルストリップ機能があり、豊富なプリセットが用意されています。これらはイメージした音を実現させるための近道になることも多い。パラメーターを微調整するだけで更にいい感じになることも多い。プリセットは残念ながら素材の状態を把握しているわけではありません。コンプが使用されている時はスレッショルドは必ず調整することをお勧めします。
どんな高性能のDAWやプラグインを使用しても元素材の状態が悪ければプロ品質に仕上げるのは難しいという原則を忘れずに。特にアコースティック楽器を録音されるミュージシャンは録り音にこだわりましょう。
音楽Hi-TeQ
-Hybrid Sound Journal.net
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