ハイレゾ音楽のメリットを語る松任谷正隆氏の表現が絶妙でした

high resolution festival
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izotopeのプラグインのセミナーに絡めて青山スパイラルで行われているHIGH RESORUTION FESTIBALに足を運びました。

まだまだ市民権を得ているとは言い難いハイレゾオーディオのイベント。スパイラルで印象的なカフェを取り巻くオープンスペースになっている1階は使用されず、3階のフロアに出店各社の小さなブースが集約され、BtoBの展示会のよう。基本的には各社が販売している音響デバイスをヘッドフォンで視聴できるというものだ。

集まっている人はオーディオマニア的な人が多かったように思います。お洒落スポット青山の感度が高い女性が立ち寄る雰囲気は残念ながらありませんでした。

筆者は音楽制作をするので一般音楽リスナーに比べ、通常から(高解像度=いわゆるCDよりもデータ量が多い)高音質で再生される音楽環境にあり、PCM方式でのハイレゾ環境が常にある。個人的にはサンプリング方法が違う、DSD方式での再生フォーマットには触れる機会が少なくその音質を確かめたかった。KORGが配布するソフトウェアAudioGateも個人的に使用させてもらっているのでKORGさんのブースでDSD音源を中心に視聴させてもらった。

再生ソースはそんなに豊富ではなかったが、アナログを思わせる滑らかでとても密度が高い音色が特徴的。PCMよりもより「詰まった」音に感じる。リスニング用に安価なDAC購入はそのうちしたい。メインであるメーカーさんの各ブースは啓蒙するための目新しい仕組みはなく僕が求めていたヒントを得ることはできなかった。

ヘッドフォンをしてしまうと、ブースに立ってくれている企業の担当者ともスムースな会話をするタイミングが難しくアテンドする側もやりにくそう。音のイベントなのだから1ヶ所くらいは最高レベルのオーディオセットで音を出していた方が、イベント自体が盛り上がったように思えた。

「ハイレゾを始める理由」というトークセッション企画

しかし別会場9Fスパイラルルームで行われた企画、松任谷由実の旦那様、カーマニアでおなじみのアレンジャー松任谷正隆氏とSound & Recording Magagine園崎氏による「ハイレゾを始める理由」と題された1時間のトークセッションはとても面白かった。

松任谷氏による70年代以降のレコーディング遍歴をはじめ、興味深いエピソードも満載。こちらの曲をハイレゾ音源で流しながら話がスタートしました。いくつかのポイントをまとめてみたいと思います。

頭にイメージした音を具現化するためのレコーディング

70年代にアレンジャーとしてのキャリアをスタートした松任谷氏だが、本格的なレコーディングを経験することにより、頭にイメージしている音を具現化する難しさにぶち当たったという。

筆者自身も初めてバンドレコーディングをした時、自分が思い描く音世界と現実に録音されたイメージの違いにショックを受けたことがある。その誤差を埋めるには機材や環境、レコーディングノウハウ、価値観の共有などが必要ということだ。

そんなイメージを埋めるために、録音も踏まえた音作りを研究せざるをえなくなったという。以降、自らのイメージに近い音作りができる海外エンジニアを起用し、未だ試行錯誤は続いているとのこと。30年にわたり第一線で活躍するアレンジャーでもイメージ通りの音を作るということは簡単ではない。松任谷氏の場合は一つのレコーディングを終えるたびに、自らの感覚が進化したように感じるという。同氏が目指す立体的で奥行きを感じさせる音像の探求は続くようです。

話の中に盛り込まれた著名レコーディング・エンジニアとの喧嘩話や有名なスタジオでヘマをやらかしたディレクターの左遷話なども面白かった。

ハイレゾについての表現が秀逸でした

昨今、レコーディング機材の進化により自宅でのプリプロ作業が増え、スタジオ(仕事場)に集まって他のミュージシャンと情報共有したり直接的なインスパイアを受ける機会が減ったという。そんな事情から、再生音源としてのハイレゾに注目したのもここ2年くらいとのこと。

80年代になってCDフォーマットが主となった頃、そのA ,B面がなくなったことも衝撃だったとのことですが、楽曲のMIXが終わりマスタリングした後の音(CD)にいつもがっかりするようになったという。

1曲のMIXが終わった時の楽曲を「できたての料理」とするなら、それをマスタリングでCDにプリントした瞬間「レトルト食品」になってしまったくらいの落差。世の中に浸透しなかったSACDが登場した時の期待値は高かったらしい。

曲が世に出るまでの過程を「卵から蝶へ」にも例えて話してくれました。これがハイレゾの価値を表現するのにとても秀逸。

ハイレゾの説明

 

卵(作曲)→サナギ(アレンジ、楽器ダビング)→蝶(MIX終了)→標本(CD)

 曲がこんな風に育っていく過程で、MIX終了直後が生きた「蝶」の姿。でもリスナーに届くのは、それが綺麗にパッケージされた標本。確かに綺麗なんだけどそこには生きている生々しさがなくなり、ある種の輝きを失ってしまう。ハイレゾはMIX終了の生々しさを限りなく伝えられるもの。

解りやすい

これなら周波数帯域だのPCMだのDSDなどが解らない女子高生にも説明できますね。解像度が上がることで、実質的にはより緻密なミックスが求められるし、ハイレゾ用のマスタリング完成度にも左右されてしまうとは思いますが。スマホで聴けるMP3では「曲」は楽しめるけど、「音楽」を楽しむならハイレゾ。と、いった表現も良かったです。

個人的にハイレゾ再生でメリットを感じるには2万近いヘッドフォン+ヘッドフォンアンプか、主に聴く音楽性に対応した性能のいいスピーカー+アンプは必須だと思うのだけど。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

音楽Hi-TeQ

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