先日アダルト系の同人コンテンツを手掛けるクリエイターからいわゆる「エロボイス」の音質改善依頼がありました。よく知りませんでしたが音声のみのアダルトコンテンツって存在するのですね(笑)。中年世代である筆者が10代だった頃、そういえば電話かけると喘ぎ声が聞けるやつとかありました(笑)が、そういう感覚なんでしょうか。
本格的な声優を起用し、バイノーラルマイク(ステレオ・ヘッドフォンやステレオ・ イヤフォン等で聴取すると、あたかもその場に居合わせたかのような臨場感を再現できるマイク)を活用し耳元ででささやくような、生々しい作品が
多く流通しているようです。下記は100万くらいする有名なバイノーラルマイクですが、最近は低価格でもそこそこものが出回っているようです。
ヒスノイズの軽減は簡単というけれど
主たる要望は、録音時に発生したヒスノイズ(シューっという機械要因もの)カットでした。こちらはDAWを使いこなせる人にとって プラグインさえ揃っていれば改善するのは難しくはありません。おそらく接続系トラブルと想定されるヒスノイズはノイズプレッサー系のエフェクトを録音トラックにインサートして簡単に解決できる場合がほとんどです。
ただし、ノイズサプレッサー自体の性質や削り具合は細かな音を聞き分けるための、モニター環境は必須。本格的なモニタースピーカーこそ不要ですが一定クオリティのヘッドフォンがないとその効果を判断するのは難しいです。ノイズサプレッサーはよほど慎重にパラメーター設定しない限り、おおよその場合音質が変わります。(少し籠ったような音質になります)そもそもの臨場感を殺すことなく、違和感なく仕上げるには
イコライザー調整の経験値も必要です。
ナレーションをプロ品質にするには専門的な仕上げが必要
人間の声(セリフやナレーション)を収録する場合、最も難しいのがマイキングと録音レベル設定。アナログ時代とちがい、レベルオーバーの音割れはご法度。音声の最大入力時は何があっても0dBを越えてはいけません。叫んだり、悲鳴をあげたりするボリューム強弱の多い演技を収録するときには特に注意です。アダルトコンテンツまさにその部類。
プロクオリティの高性能マイクで収録すると、その高い解像度特性から聞こえないくていい音も細かく拾ってしまいます。そのため映画を代表とするコンテンツは必ず
整音という作業が発生します。スタジオで録音されたナレーションに関しても、リップノイズ(唇のピチャクチャという音など)やポップノイズ(マイクの吹かれ)などはプロのエンジニアが使いこなす
音声修復(レストレーション)系のアプリを使いこなさなければ、録音専門スタジオのクオリティーに近づけることは困難です。
エロボイスは通常のナレーションよりも整音が難しい
エロコンテンツといえば音量の強弱に幅がある「喘ぎ声」や、激しい「ディープキス」や「×ェラチオ」の生々しさが肝。折角プロレベルの声優を起用しても、
そういった臨場感の肝となる音が「耳障り」に聞こえてしまうと、そのコンテンツの魅力を活かしきるのは難しいもの。
今回クライアントからご依頼頂いた音声はヒスノイズよりクオリティにネガティブ影響を与えていたのは下記によるものです。
- レベルオーバーによる軽度の音割れ
- 吐息による吹かれ
- リップノイズ
- クリップノイズ
程度にもよりますがこれらは全て改善か可能です。但しボタンひとつで一発改善させる自動処理だけではizotope RXであってもまだまだ、完璧にはなりません。問題箇所ごとに局所的に編集するのがもっとも高い改善効果が期待できます。手作業が増えるほどコスト増につながりますが、目指す完成度のご要望に応じてナレーション等の整音や音声修復も承っています。専門知識はないけれど、プロの音作りに近くしたいというご要望にお応えします。
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