世界的ヒット曲を数多く手掛ける、ニューヨークのマスタリングスタジオ「スターリング・サウンド」。
2014年のSound & Recordingマガジンの企画で当時の在籍エンジニア6名が特集されていました。
5年経過した現在においても、最終工程に使うのはiZotope OZONEやWAVESのプラグインが主流。それはトップエンジニアも例外ではありません。しかし一般クリエイターのマスタリング環境と最も違うのは厳選されたアウトボードが充実したスタジオ環境。その多くはなかなか所有できない高価な機材。最新版Ozone8ではAIによる自動マスタリング機能も便利ですが、より高みを目指すにはトップエンジニア御用達ハードウェアのエミュレーションプラグインを手に入れたいものです。
その前にモニタースピーカーの性能を充分に引き出すのセッティングをしたり、楽器ごとの周波数帯域の感覚を身につけておくことも重要です。
Manley Massive Passive EQ
筆者もUADのプラグイン版を所有しています。スターリングサウンドのエンジニアもメイン卓にセッティングされている人が2名ほど。過激にイコライジングしても音色のエッセンスを損ないません。チューブ独特の暖かい丸みのあるエッセンスが特徴的。
まさにマスター用のEQ。サイデラマスタリングにもハードウェアが常設されていました。日本国内ではほとんどブログに書く人も少ないようです。
パリッと透明感のある音色。マスタリングに使うイコライザーはどれも本当にナチュラル。Massive Passiveと比べて硬質でキレがある印象。
上記の動画チュートリアルもそうだが、どちらかといえばミキシングのトラックに活用する印象が強いAPI550ですが、スターリング・サウンドのエンジニアのメイン卓にセットされていたりします。サンレコの取材では550Mでした。APIは卓も含め独特のコシというか抜け感があるのでその音がマッチする音楽があると想像します。
イコライザー系はまだアウトボードも多いですがコンプレッサー、リミッターにおいてはデジタル処理が増えている傾向のようです。その中でもスタジオで目立っていたのがMANLEY。イコライザーもそうですがモダンアウトボードの位置づけなんですかね。上品な滑らかな出音ですね。
いかついルックスのシャドーヒルズ。とても高額のアウトボードとのことで、実機に触れる機会はありません。こちらのプラグインは所有していますが、とっても自然にピークを削ってくれるのでマスタリングの仕事の際にはファーストEQの後に必ず刺しています。今後、MANLEYを導入して使い分けてみようかな。sleepfreaksさんがとっても丁寧に解説してくれています。
いかがだったでしょうか。EQはその他FOCUSRITE blue315や TG12345 Curve Bender EQ なども見受けられました。2019現在、デジタルEQもFABFILTER ProQ3などトップエンジニアに支持されている人気プラグインも定番化しており、アウトボードの位置づけも変化の過程にあるといえます。よりナチュラルで「味がある」スパイス的な役目が継続されていくのかもしれませんね。紹介したエフェクターはトップエンジニアならではのグレード感や洗練された質感を演出する高級アウトボード。ぜひ庶民クリエイターはプラグインでそのエッセンスを楽しみ、ハイグレードな音楽制作を続けましょう。
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