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ボイスメモのノイズ除去・明瞭化|本当はやりたくない10の理由


音質改善サービスを運営しているサウンドリフォームの山川HSR_YB@です。
コロナ禍で定期的に受託していた動画編集の仕事が激減してますが、本業の音質改善サービスは
比較的順調に成長。中でもボイスメモデータのノイズ除去・明瞭化依頼はニーズがなくなりません。

自分は音楽のレコーディングエンジニアを目指して専門学校に入学するも、在学中に才能ある友人に触発されバンドで人生を狂わせた(笑)音楽畑の人間。仕事で伸ばしていきたいカテゴリーは映画の整音や音楽作品のミックスマスタリングです。

ボイスメモデータの音質改善依頼はキラキラした映画・音楽のエンタメコンテンツとかけ離れ、裁判や揉め事などのダークサイド案件が中心。世のため人のために役立つとはいえ、ぶっちゃけサービスとしてあまり強化したくないカテゴリー(笑)。そんな理由についてまとめたいと思います。

・抜本改善できない確率が50%

僕が運営する音質改善サービスでは年間100本以上のボイスメモを扱います。いずれも「録音した会話が聴き取れない」というお悩みをクライアントからお預かりする音源の大半は雑音がひどかったり、ボリュームが小さくて聴こえなかったりするもの。

ハッキリ言って私のような専門プロでも改善できないケースが40%前後。そのため、音源をお預かりして無料でサンプルを作成し実際に改善できるかどうかを試してからお見積するシステムを採用しています。

実作業よりも改善するためのレシピを策定のほうがずっと手間暇がかかる割に、約半分は無駄な仕事に終わってしまいます。ビジネスとしてはロスが大きいのが現実です。

・録音内容が重い

冒頭でも触れましたが、音質が悪いボイスメモデータをお金をかけても聴きやすくしたいというニーズは、離婚やいじめ、セクハラ、解雇に伴うトラブルなど、人間同士の揉め事(裁判)に絡むケースがほとんど。もちろん、揉め事以外でも新聞記者が反響の多い講演会場で取材用に録音したデータや重要会議の議事録など、別ケースもありますが比率は少なめ。

サスペンスドラマのように切迫したシーンは滅多にありませんが、話半分で聞き流しつつも内容は確実に耳に入り、クライアントが当事者だと心が重くなりがちです。裁判を有利に進めるにあたり、決定的な重要ワードを取り出すミッションは切実です。

・スカスカの圧縮データばかり

録音に詳しくない人が話し合いの会話を録音しようと思ったら、小さめのICレコーダーやスマートフォンのボイスメモアプリを使うことが大半。試し録りして再生されれば問題ないと思うもの。しかし、後で再生してみるとノイズだらけで全然内容が聴きとれません。人間の耳は話し相手に自動フォーカスして聴き取っているからです。

首相の囲み会見で腕を突き出す新聞記者のようにレコーダーのマイクから口元まで50cm以内の至近距離で録音しないとクリアな音声を録音できないという、知識は一般人にはありません。

その結果、会話内容が聴きとれないという相談をいただくのですが、音の悪いデータを編集しようとする時、問題になるのがデータの質です。

圧縮音源と非圧縮音源

音声データは大きく分けると圧縮音源と非圧縮音源が存在します。
例えばmp3は圧縮音源、wavは非圧縮音源です。

圧縮音源は記録容量を節約できるため、大量な音楽データを持ち歩きたいとかいうシーンに便利です。しかしミュージシャンが録音した時点では解像度の高い高音質データを仕上げたのち、データを間引いて利便性を高めているのです。

以下パナソニックICレコーダーのスペック表↓↓

例えばICレコーダーでは
長時間モード=mp3  高音質モード=wav(上記表ではPCM-44.1kHz)
と、設定によりメモリー内で録音できる限界値が変わってきます。

綺麗に録音できていれば長時間モードのほうが便利なので素人がこちらのモードを使ってしまいがちです。

音質が悪いデータを精度高く改善できるのはデータ密度が高い非圧縮音源です。

上のスペック表でも分かる通りPCM-44.1kHz(wav)と比べ最も軽量のMP3-64kbpsでは
データ量が22.4倍も差があります。非圧縮データと比べ、大量にデータが間引かれたスカスカという音源ということです。

スマホ世代は目にする機会は少ないかもしれませんが、ガラケー時代によく見かけたデータ量が小さな写真画像を思い出してください。解像度の粗い画像を引き延ばしても、モザイク状になるだけで拡大できないという体験をした人は多いはず。

音声ファイルも同じようにデータ量がスカスカだと、あとから編集しても綺麗にできないという原理は同じ。iPhoneのボイスメモアプリ設定でも、ロスレス設定モードがあるので、重要会話は必ず音質のいいロスレスモード録音することをお勧めします。


・クソ長いデータは怪しげ

4~8時間を越えのクソ長い録音データをご要望いただく機会もあります。サービスでは原則として3時間越え音源はお断りしています。中には裁判で争う経営陣と原告側の弁護士が会議室で長時間話し合いしているケースも場合もあり、そういった場合はお受けするときもありますが、クソ長い録音データの多くは隠し録り。

ある意味、盗聴のような行為に当たるのでこのような音源はほとんどお受けしません。配偶者の浮気を疑うパートナーが、部屋に録音機を仕掛けていたりします。部屋に設置した場合は、前項「非圧縮データじゃない」で説明したように、会話者の口元から50cm以内で録音できるケースがほとんどありません。

また、録音機の設定も長時間モードの圧縮音源のためデータがスカスカ。

・人間の口元からマイクまでが遠い
・データの解像度が低い

と、いうことで改善できないケースが90%です。オマケに3時間越える音声データは編集ソフトでの扱いも簡単ではなく、
編集状態にするだけでも面倒だったりします。

職場でのパワハラやいじめ現場を盗聴して証拠に残そうという方も多いようです。こういった案件はなるべく弁護士を通じたものではないと怖いのでなるべくお断りしています。また、そんな録音を依頼する方に限って中身をよく聞かず丸投げしようとする方が多いのも特徴。音声調査でも解析業者ではありません(笑)。

・耳が痛い

会話が聴き取れないというボイスメモは様々なパターンが存在しますが、多くの場合、全体的なボリューム感、音圧感を上げる必要があります。会話より周囲のノイズが強い場合、ボリュームを上げるとノイズが持ち上がり非常に耳障りです。

・「ガタン」とモノが当たる音
ポケット内の布擦れ「ガサガサ」というノイズ

大きすぎる打撃音などは耳を傷めないため、作業の準備段階でピンポイントで消し込みをして対処。そういったノイズが無数に入っている音源では全部除去するのも困難、そんな状態での長時間作業はストレスが半端ありません。

・作業が楽しくない

映画の整音作業音楽作品のミックスマスタリングのお仕事をする機会も多いですが、それらのエンタメコンテンツは膨大な作業量だとしても、作品に磨きをかける工程の一端を担うことから、「心踊る」瞬間があります。しかし、ボイスメモ音源は人様のプライベートを覗きみることになり内容もヘビーだったりします。なるべく詳細内容には触みこまず、会話状態をクリアにするミッションだけを黙々と行うのですが、言うまでもなく楽しめる内容は滅多にありません。

クライアントから裁判を有利に進めるにあたって、重要な特定ワードを指定され、なんとかクリアにするという作業を行うこともあります。そういう場合は内容に踏み込んでの作業になるので神経を使います。

音楽や映画など、情熱が込められた作品を作るための作業とはメンタルに雲泥の差があります。

・ITリテラシー低い人の対応が面倒

僕が運営する音質改善サービスは集客の90%がホームページ経由。スマホでググれる方ならサイトを発見し、ご依頼いただけます。

しかし、PCを所有していなかったり(ICレコーダーからデータを移動できない)Webデータストレージサービスの仕組みを理解されていない方や、スマートフォンのボイスメモを転送できない主婦やシニア層からの相談もあります。

少人数で運営していることもあり、大手サービスのようにお問合せ段階から、そういった顧客を相手するコストを割くことができません。また、音声・動画データを扱うサービスの為最低限の知識がない場合はそのような問い合わせ者をフィルタリングしています。

救済措置として割高な設定ですが「ボイスレコーダー全部お任せプラン」という、レコーダー本体をお預かりするプランも用意しています。

ファイル共有をスムースにするため、詳しくない方にも丁寧に説明した記事もご案内しています。

(PC)ギガファイル便でのアップロード方法
https://www.hybridsoundreform.com/upload-eazy

(スマホ)グーグルドライブでの共有方法
https://www.hybridsoundreform.com/voisememo-kyoyu

しかし、それでも電話応対を強要される方がいます。

電話を強要される方の多くは話術に長け、なし崩しに自分のペースに持って行く方が多いと感じます。他人のプライバシーに関わりそうなデータを扱っているため、原則的にはログが残るメールにてやりとりさせていただいてます。


・メンタルが不安定

営業サイトでは電話番号を公開していません。(よく探すと見つけられます(笑))公式のサービスポリシーにも電話対応の強要をお断りしています。IT音痴の方をフィルタリングする意図もありますが、以前は対応していました。

しかし、裁判や浮気調査、セクハラ、パワハラなど怨恨に伴う案件に絡んでいる本人から電話をもらった場合、メンタルが不安定な方は通常対応が困難です。

改善できないと当方がギブアップしているデータをしつこく修正要望したり、事実をねじまげる不当な編集を要望されるケースもありました。実際、第三者の僕が聴いてもげんなりしてしまう会話などもあるので、当事者の負荷は相当なものだと想像します。

メールの雰囲気がおかしな方は、本契約前になるべくお断りするようにしています。

また、幻聴が聞こえてしまうような、精神的障害を持つであろう方から「何も聞こえない数時間の環境音」を解析してほしいと頼まれる機会もあります。そういった場合は、やんわりとお断りしています。


・クチコミ展開しない

貴重な証拠になりえるボイスメモの音質をクリアに改善できた場合、とても感謝されます。本当はやりたくないカテゴリーでも、世のため、人のために役立てていると感じられる瞬間です。

いいサービスであれば口コミで広がっていくのが一般的ですが、ここまで説明してきたように、裁判や離婚、セクハラ、パワハラなどネガティブな案件の場合はそんなことをわざわざ他人に口外することはありません。

サービスとして各種SNSも運用しており、多少の宣伝効果を期待しています。音楽や映画の場合は公開された作品リンクなどを参照し、僕が手掛けた作品としてシェアすることも可能です。しかし、ボイスメモ音源の場合、事例を公開できないのは言うまでもありません。

良いサービスはかならず利用者から口コミが広がるものですが、このカテゴリーにおいては感謝されるサービスでありながら、横展開しづらいのはビジネスとして非効率的です。


・ボイスメモ データは犯罪利用される可能性がある

素人が録音したボイスメモは恐喝などの犯罪に使われる可能性も含んでいます。お問い合わせいただいた時点で、こちらからサービスポリシーをお送りし同意いただいた後、音声サンプルを作成する流れをとっています。

飲食店で偶然鉢合わせた芸能人の会話の隠し撮り、など盗撮行為に近い案件の相談をいただくこともあり、お引き受けできない音声データとして下記のような項目もサービスポリシーに入れています。


・依頼者に関連のない第三者による盗み撮りや恐喝等、犯罪転用が想定される内容

こういった文言を送りつけ承認いただくことにより、フィルタリングがかかり、少しでもやましいと感じた方からの問い合わせはそこで断絶します。

最近は多くのトラブルを扱う弁護士事務所からリピート依頼いただくケースも増加してます。社会的信用を持つ第三者が入っていただくと、安心してサービス提供できます。

まとめ

以上が「ボイスメモのノイズ除去・明瞭化|本当はやりたくない10の理由」でした。
特定の人にとって役立つサービスである反面、効率はあまり良くありません。そのため大手が参入しにくいという側面もあるかもしれません。

好きな音楽や映画の仕事が手一杯になったら、事業売却も検討したいと思いますが、コロナ禍でエンタメ業界もこの先どうなるか読みづらいのが現状。生き抜くためにもう暫くは頑張ってサービス提供するしかありません。

雑音除去においてはいつもGoogle検索トップに広告表示されている競合他社も存在します。
どうしても電話対応を強要する方はそちらを案内してしまうこともあります。
料金はそれなりのようです。お見積されたクライアントから相談を受けることもあります。
汚れ仕事の要素も含め、当方も以前よりはしっかりとした見積をお出ししています。しかし、原則は改善に伴う作業工数や納期などに連携した適正な見積価格を提案しています。

ボイスメモのノイズ除去・明瞭化サービスを受けてみたい方がいらっしゃいましたら
音質改善専門の営業サイトHybridsoundreform.comまでお気軽にお問合せください。

 

SoundRefomer@yamakaWA!!!

音楽・音声のリフォームサービス「HybridSoundReform」代表の山川です。 東京コンセルヴァトアール尚美 音響芸術課卒業。 高校卒業後、レコーディングエンジニアを志し同校に入学。在学中に作曲制作に目覚め卒業後は本格的に作編曲活動を開始。バンド活動をスタート。音楽プロデューサー久保田さちお氏の支援を受け、日本コロンビアよりミニアルバムを発表。 バンド解散。その後結成したユニットで数社のオーディションに通過、TBSの深夜番組「デジ屋台」出演などを果たすも大きな反響には至らず音楽活動をフェードアウト。100曲近くの楽曲を残しサラリーマンとして第二の人生を歩む。 インテリア業界でキャリアを重ね上場会社の営業本部長に就任。実家に帰省時、バンド時代の古いVHSテープを発見したことから音質改善の可能性に目覚める。 2015年 録音物の修復・改善・高音質化を手がける 「ハイブリッド・サウンド・リフォームドットコム」設立。

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