有名なレコード会社からCDをリリースしなくても、オンラインでオリジナルの曲を販売することは身近になった。音楽聴き放題サービスも複数スタートし、自らの音楽をネット上で流通させる間口はとても広がった。
興味深い海外の記事を見つけた。iTunesをはじめとする音楽の主要プラットフォームでソロアーティストが1260$(約15.8万)を稼ぐためにはどれくらいのCD販売やダウンロード数が必要か?という比較一覧。Tunecoreなどで世界配信してもネット上でマネタイズするのはかなりの知名度が必要だ。
ライブハウスなどでリアルな活動しているミュージシャンやバンドはやはりCDを手売りできることが最大のメリット。アルバムCDを自己流通で100枚直販できるインディーズ・アーティストははビジネス的にはとても優秀。その利益を稼ぐため、i-Tunesでは?Spotifyでは?YouTubeでは?
オリジナルサイトでの一覧表がデザインもかっこ良くて、イメージがしやすいですが日本語で抜粋すると以下のような表になります。
CD100枚って未所属のアーティストでも販売がイメージできる数字だと思いませんか?もちろん、継続的に販売できるのは簡単ではない。毎週ライブを開催して見込める販売数はどんなものだろう。ネット上で知らない人から買ってもらえるプロモーション?有名曲をカヴァーしてYouTubeにアップし、音楽のSEO対策をし拡散を期待する。そんな手法も既にごく普通になった。
(関連情報)音楽が簡単に直売できるwix.comのホームページ作成サービス
何らかのレーベルと契約をすれば何割かのマージンが確実に差し引かれます。それにより販売数が確約されるわけではない。新人アーティストを大きく売りだし、投資回収するビジネスは既に崩壊している。
他の追随を許さない6000万人のユーザーを抱えるSpotifyは色々な議論が持ち上がっていました。上に添付した利益表の中でもレーベル契約しているアーティストにとって、最もマージンが低価格になっています。後発したAppleMusicは既に1年足らずで大きなシェアを獲得しているが、似たり寄ったりであり、既にビッグアーティストとして認知のある人しか食っていける収益を稼ぐことは難しい。
先に国内でもリリースされたAWAは様々なデータを元に綿密な試算をして交渉を行い、サービスを立ち上げたと推測する。音楽リスナーには間違いなく嬉しいサービスだが、アーティストへの配分がどのようになっているのかも興味深い。AWAはインディペンデントアーティストのコンテンツも今後視野に入れているという。CDからダウンロード、ダウンロードからストリーミングという世界的な音楽流通の変化にアーティストがどのように呼応していくのか?
アーティストはその作品をどこで認知してもらうかという課題がある。ネット上でもトラフィックの多い場所を確保するにはコストがかかる。作品の価値に対価を払うという行為とその作品を広めるための広告費の関係がますます複雑化しています。YouTubeの差し込み広告も金にモノをいわせればスキップさえ回避できる。無名のアーティストがブレイクするにはやはり星の下の元に生まれた「運」は欠かせないのだろうか?この表のYouTube欄を見るとヒカキンって本気ですごいですね。
数年前のインタビュー記事で坂本龍一氏が以下のような意味合いのコメントをしていた。「これからの音楽ビジネスはいわゆる大道芸的に投げ銭するようなスタイルに変わっていくのではないか」と。パフォーマンス(音源および楽曲)そのものがプロモーションであり作品。良かったら小銭を投げる。凄く良かったら札束を投げる。コピー防止はもう話題にも上がらなくなった。
その音楽やパフォーマンスに投げ銭をするというのはアーティストそのものに還元する最もフェアな方法。楽曲データに個別印税タグをつけてネット上のすべてのプラットフォーム再生時に共通の収益が得られるような音楽コンテンツの仕組みがは出来ないものか?
どこでも無料で再生できる音楽には価値が乏しく、その場に行かなければ味わえない生ライブ、レコードプレイヤーがないと再生できず、物質的な側面が強いアナログレコードの価値が上がる。なんだか不思議なものですね。(2016.5加筆修正)
音楽Hi-TeQ
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