映画制作の現場では、どうしても「映像」に意識が集中しがちです。しかし、観客の体験を左右するのはむしろ「音」。特にセリフの聞き取りやすさや音のバランスは、作品全体の完成度を大きく変えます。
とはいえ、学生映画や自主制作では音声面に十分な予算や知識を割けないのが実情です。そこで重要になるのが 整音(せいおん)やMA作業を外注する判断。本記事では、初めて整音を外注する新人監督に向けて、知っておくべき5つのポイントをわかりやすく解説します。
整音は、撮影現場で収録された音声を整理・調整し、観客にとって聞きやすく心地よい音に仕上げる作業です。ノイズ除去、セリフの調整、効果音の追加、音楽とのバランスなどが含まれます。MA(Multi Audio)はその仕上げ工程で、映像と音を最終的に合わせ込む作業を指します。
プロの整音エンジニアは、収録時の不具合を補正し、作品の世界観を高める音作りを行います。映像だけでは伝わらない臨場感やリアリティを付加するために欠かせない工程です。
最初に大切なのは「どのレベルまで整音してほしいか」を明確にすることです。
依頼の目的を整理することで、無駄な作業を省き、コストも抑えやすくなります。
ポスプロ業界の費用感は幅広く、知らないと見積もりの数字に驚くことになります。
つまり「劇場公開レベルにしたいのか」「映画祭で最低限通用すれば良いのか」によって必要予算は変わります。事前に相場を把握しておくことで、現実的な交渉がしやすくなります。
観客にとって最も重要なのは「セリフがはっきり聞こえるかどうか」です。音楽や効果音は多少不足していても、セリフがクリアであれば作品は成立します。
整音を外注する際も、まず「セリフを聞きやすくしてください」と要望を伝えましょう。その上で余裕があれば、効果音や空間演出の追加を検討するのが現実的です。
整音の仕上げは、上映環境によって大きく変わります。
国内の小規模映画祭:ステレオ2.0で十分
海外映画祭や劇場上映:5.1chサラウンド対応が必要になる場合あり
配信用:YouTubeやVimeoに最適化したラウドネス調整が求められる
外注先には必ず「上映予定」を伝えましょう。上映形式に合わせて最適な仕上げをしてもらえるためです。
外注を検討するときは、いきなり「いくらかかりますか?」と聞くのではなく、以下の情報をセットで伝えるとスムーズです。
作品の尺(例:40分の短編)
チャンネル数(ステレオか5.1chか)
仕上げたいレベル(最低限の整音か、映画祭対応か)
納期(上映や締切までの日数)
これらを明確に伝えることで、外注先は無駄のない見積もりを出しやすくなり、予算オーバーを防げます。可能な場合は、依頼時と同じくaafやomfファイルで収録状態を見てもらうことも処理想定がしやすいです。
整音やMAは「お金がある映画だけの贅沢」と思われがちですが、実際には低予算でも依頼可能です。新人監督が意識すべきは、
外注の目的を明確にする
予算感を把握する
セリフを最優先に整える
上映環境を伝える
見積もりを具体的に依頼する
という5つのポイントです。
音が整った映画は、それだけで作品の印象が格段にプロフェッショナルに近づきます。観客や映画祭の審査員に好印象を与えるためにも、整音の外注を積極的に検討してみましょう。
✅ 私が運営している音声編集サービス Hybrid Sound Reform では、学生映画や自主制作映画に特化した整音プランを用意しています。無料トライアルや簡易診断も可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
This website uses cookies.