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ネットと音楽の関係は激変。ジェネレーションZの価値観。

CINRA.NETというカルチャーニュースサイトで「ネットが音楽に与えた変化を問う」というテーマのもと渋谷慶一郎×VERBALの対談が掲載されて、プロのクリエイター側から見る視点のコメントがとても面白かった。

音楽クリエイター同士ではたまに議論される内容かもしれないが、現在進行で変化が激しい今を切りとってのインタビューは貴重だ。彼らの気になった文面から一般人としての視野もいれながらその考え方に触れ、変化に困惑しそうな?アラフォー世代の音楽の楽しみ方に考えてみたい。

渋谷慶一郎×VERBAL対談 ネットが音楽家に与えた変化を問う

http://www.cinra.net/interview/201506-shibuyakeiichiroverbal

聴き手の聴覚を挑発する作品で日本の電子音楽シーンを牽引しながらも、2012年にはボーカロイド「初音ミク」をフィーチャーしたオペラ『THE END』を発表、近年はパリと東京を往復しながら新作を準備する渋谷慶一郎。かたや、m-floやTERIYAKI BOYZ®、最近ではPKCZ®などの人気ユニットで日本の音楽シーンの可能性を追求しつつ、自身のファッションブランド「AMBUSH®」やクリエイティブエージェンシー「WHATIF」を運営し、経営者としての顔も持つVERBAL。一見、意外な組み合わせにも思えるこの二人の音楽家が、オンラインサービス「Dropbox」を使ったプロジェクト「New Meets, New Creation」でコラボレーション楽曲を制作した。

「Dropbox」による共同楽曲制作について

特に使用DAW等の情報は開示されていなかったが、音楽データをDropboxで交換しながら楽曲制作を進行させたのこと。LINEなどを使い、スタジオで交わすようなコミュケーションは行い特に不便はなかったとのこと。スタジオでの作業になるとお互いの作業が見えたり、編集作業や録音のやり直しなどで音の鮮度がなくなるケースがあるようだが、完成された音だけが送られてくる分、相手にとってはベストの作業ということが肯定的に捉えられるという渋谷氏のコメントには頷くばかりだ。不足があれば受取側で補完する作業をすればよいと考える。対面してないぶん音からその心理や背景をかえって汲み取りやすく想像力が働く。

主要DAWでもネットセッションができる機能もあり、彼らより下の世代の音楽クリエイター達はもう当たり前のことなのかもしれません。曲が出来てカセットテープを郵送しているスピード感は彼らには分かるまい(笑)。最近だと某証券会社のTVCMのように国境を越えてのリアルタイム・セッションを可能にしているソフトも発売されています。

SoundcloudやMixcloudで世界中のミュージシャンやDJとコンタクトをとって共同制作ができる時代。外を見渡せば大きな可能性が広がっていそうですね。

ジェネレーションZについて

ネットがない時代を知らない若い人の感覚についても語られている。SNSでのコミュニケーションもそうだが、人生観や音楽との出会い方、その解釈の違いも面白い。

音楽の認知の仕方としてはTVやラジオ→紹介される音楽という形に限定された世代に対して自分で見つける&見つけられる無数の音楽→選ぶ ということも然り。フジテレビが春から放送している水曜歌謡祭の視聴率についても低いという情報が流れているが、以前からあるバラエティースタイルでの音楽番組の発信力はすでに失われている。自分の感覚で選ぶ嗅覚が鍛えられているからテレビに簡単に価値観を左右されたりしないということ。そのセレクトスタイルは確かに興味深い。

「水曜歌謡祭」自己ワースト3・8%…右肩下がりで苦戦続く(スポニチアネックス) – Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150604-00000098-spnannex-ent

CDアルバムというパッケージの意味

CDの記録上限である79分58秒。約12曲という必然についても語られた。確かにネット上にアップするならばパッケージに制約される必要もない。アーティスト側もアルバムセールスよりもとにかくシングルを量産してヒットしたらツアーに出るというスタンスで活動するFLO RIDAというラッパーもいるとのこと。インタビューの両氏はアルバムだからこそできる作品や表現についての言及があった。CDやレコードの名盤を聴いてきた世代のクリエイターにはやはり特別なフォーマットですよね。46分カセットの23分の折り返しっていうのも悪くない間だったと感じます。

音楽配信について

―YouTubeやニコニコ動画などで、ビジュアルと合わせて音楽配信を行うことが当たり前になってきていますし、これからもネットを使ったまったく新しい音楽形態が生まれてきそうですね。

渋谷:そうですね。とはいえ、単に発信できればいいわけではなくて。SoundCloudでも、そこで聴ける曲の多くは、マスタリングもせずに書き出しただけの曲でしょう。それを何回も聴こうとは思わない。僕はネットで作品を発表するときも、必ずスタジオでマスタリングしているんです。「そのこだわりは伝わるの?」とも言われるけど、僕は絶対伝わると思う。音楽は無意識に働きかけるから、そういうことはあるんです。

簡易的な量産品と1点ものの削り出しプロトタイプとの差は音楽ではやはり判別しにくいもの。再生環境も今やiphoneやスマートフォンが一番多いデバイスと呼べるだけにどこをターゲットとするかも難しいですよね。マスタリングエンジニアは多様なデヴァイスでのバランスを考えて細部まで調整しますからね。神は細部に宿るってことですね。

ディスクリプションサービスでさらに加速?

定額制音楽配信サービスについてはこの記事では語られていなかったが、日本でもAWAが好調にスタートしLINEMUSICもこれから始まる、2015年は日本にとってディスクリプションサービス元年になる年。これまでにも増してネットと音楽の関係に大きな変化がおきるのは間違いない。これらはリスナーにどういう行動を促すのだろう。選考した欧米各国ではCDが売れなくなり、ダウンロード販売も年10%以上低下し、ストリーミング収益だけがうなぎ上りだ。

 音楽業界のガラパゴスと言われた日本はこれと同じになるだろうか?すでに多数の金になる原盤を持っているレコード会社、出版社はその利益を確保するのに知恵を絞っていると思うがどうか忘れてほしくないのは新アーティストの発掘である。Spotifyは1度も再生されない曲が20%(400万曲)もあるという。誰でもネットに曲をUPできる時代、埋もれた曲を発掘、ピックアップすることが重要。文字のブロガーのように音楽を発掘するネットDJ的な存在、またすでに名声を得た影響力のある人間の発信が欠かせないだろう。

 

まとめ

ジェネレーションZの世代には一発当てて、フェラーリに乗って豪遊するアメリカンドリーム的な夢を見る人間は少なく、バイトしながらでもとにかくゲームをしたいとか音楽が創れればいいという、自身にとって心地の良い場所を求める傾向にあるらしい。CDプレイヤーを所有したことのない世代の音楽家はどんな音楽を創るのだろうか?個人的には最近、面白い若手アーティストが沢山出てきたなと感じている。世界へ突き抜ける天才の出現を待ちたい。

SoundRefomer@yamakaWA!!!

音楽・音声のリフォームサービス「HybridSoundReform」代表の山川です。 東京コンセルヴァトアール尚美 音響芸術課卒業。 高校卒業後、レコーディングエンジニアを志し同校に入学。在学中に作曲制作に目覚め卒業後は本格的に作編曲活動を開始。バンド活動をスタート。音楽プロデューサー久保田さちお氏の支援を受け、日本コロンビアよりミニアルバムを発表。 バンド解散。その後結成したユニットで数社のオーディションに通過、TBSの深夜番組「デジ屋台」出演などを果たすも大きな反響には至らず音楽活動をフェードアウト。100曲近くの楽曲を残しサラリーマンとして第二の人生を歩む。 インテリア業界でキャリアを重ね上場会社の営業本部長に就任。実家に帰省時、バンド時代の古いVHSテープを発見したことから音質改善の可能性に目覚める。 2015年 録音物の修復・改善・高音質化を手がける 「ハイブリッド・サウンド・リフォームドットコム」設立。

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