ポストプロダクションやプロのミュージシャン、エンジニアにはおなじみのizotopeのRXシリーズ。アマチュアには優先度が低いプラグインかもしれないけどこいつはすごい。Web上での情報が少ないので簡単な使用方法とその技術を紹介します。
解析機能やプリセットもあり操作自体はとても簡単ですが、成分を表示するスペクトグラムを理解しエディットをくり返すとプラグインの癖がだんだん解ってくると思います。
筆者はRX-3の通常版を所有しておりますがProtoolsでの業務使用でなければAdvanced版じゃなくても十分使用でき、手軽にDAW廻りの強化プラグインとして導入してもかなり使えるプラグインです。強力な各種ノイズ除去はもちろん、録音時に失敗した音声のリカバリーツールとして秀逸。
DAWに挟んでのリアルタイムエディットもできますが、今日はスタンドアローンでDenoiseを使用してヒスノイズを取り除きます。ここではアマチュアロックバンドのライブハウス演奏をサンプルとします。90年代のホームビデオでエア撮影された音質的にはたいへん厳しい状態です。
まずはソフトを起動させ、上メニュータブ→File→Openよりファイルを開くと下記のメイン画面が立ち上がります。Waveデータは時間軸での音量ピークなどを判断できるので音源のエディット箇所を判別するための要素が強いです。細かくモニタリングする箇所や具体的に細かなエディットに入る場合は画面①のスライダーを右側にスライドすると青いWaveデータが消えます。
拡大画面やPhotoshopのような選択ツールが並んでいます。スペクトラムデータのエディットに使用します。
スライダー調整でWaveデータを非表示にすると画面全体がスペクトグラムとなりオレンジのグラデーション画面になります。縦が音(周波数帯域の上下)で上の方が高音、下の方が低音となります。左右は時間軸です。音楽の場合は音の輪郭がはっきりした楽器部分の音声が明るく表示されます。
画面はオープニングテーマの弦楽の通奏低音からスタートしています。白枠(これは筆者が画像でマーキングしています)部分から高い他の楽器が始まっています。楽器が当然曲のフレーズと同じように上下します。単音楽器ならDAWのキーエディターみたいなイメージで見ることができると思います。
音源全体のヒスノイズ(空調やカメラのモーター音、テープヒスなど)を軽減処理します。Denoiseのプラグインを選択し全体的なノイズ成分を解析します。そのためには演奏中より曲間のMC部分など、極力ノイズのみの音声部分をなるべく長いスパンで選択し解析します。ヒスノイズは広い周波数帯域に存在しますのでここではファイル全体の演奏外部分を選択しdenoiseパラメーターのLearnボタンを押します。(MC中の声や演奏が入っていない部分を解析します)
ノイズ成分を解析したらこんどはそのデータをもとに具体的にノイズ除去していきます。扱う音源によってアプローチの仕方は変わってくると思います。③で選択した部分はそのままにしてどのような効果が得られるかのプレビューをしてみましょう。
まずは左下のPreviewボタンを押すと選択部分のノイズリダクションされた音声を聞くことができます。Previewは試聴なのでこの時点で音声への処理は行われません。一番右のReductionレベルの調整をしながら最適な箇所を見つけます。このレベルは上げるほどに強力なノイズリダクションになりますが初回は5〜8くらいの設定をお勧めします。
Izotope社のエンジニアは大胆にリダクションレベルを上げるよりもリダクションレベルをなるべく押さえて複数繰り返した方が自然に奇麗なリダクションができると勧めています。Output noise onlyはその名の通りそこにチェックを入れてPreviewするとノイズのみのモニターができます。
④の設定を終えたらオーディオ全体を選択しDenoiseのProcessをクリックします。この時点で元のオーディオ自体が書き換えられます。
再生しながらではなくProceessした時点で音声ファイルが書き換えられますので、結果が思わしくないようならば右下のundoボタンで数回前の処理まで取り消すことができます。もう一度④の設定をしなおしてリトライしましょう。
エディット後の効果の違いを掲載します。単体で使用すると本当に地味ですが、仕上げ時に大きな差が出る下処理や最終処理に適してますね。LIVE音源の全体だと中々解りづらいので、仕上げ時のMC部分を抜粋しての比較サンプルをUPします。I-zotope社の公式サンプルも合わせてどうぞ。
音質の悪いPC等のスピーカーでは解りにくいのでヘッドフォンにてご試聴ください。
izotope社のサンプルは更に解りやすく。
価格:36,504円 |
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